五島列島・小値賀島 玄武岩の溶岩台地
小値賀島は、長崎県の西部に連なる五島列島の北部に位置する島です。
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拡大したのが下図です。玄武岩の小さな溶岩台地が寄り集まってできた島で、全体的に標高が低いのが特徴です。
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小値賀島で最も高いのは海抜111mの本城岳。火山島群の中では、斑島の金比羅岳が最も高いがそれでも126m。
小値賀島にバイクを持ち込み、地形を見て回ります。
斑島園地
まずは、小値賀島の西にある斑島へ。ここは小値賀島と橋で繋がっていて、簡単にいくことができます。
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小値賀島の西にある斑島の金比羅岳山頂。とても良い景色。
小値賀島も斑島も、全部玄武岩です。この神社の石垣も、真っ黒な玄武岩です。
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手前の小値賀島は、粘り気の少ない玄武岩の溶岩台地なので、べたーっとしています。海岸も玄武岩なので真っ黒。白い砂浜はほとんどありません。
一方、その向こうの野崎島と中通島は、粘り気の強い流紋岩や花崗閃緑岩の山が連なり、急峻な地形です。
玉石甌穴(たまいしおうけつ)
続いて、斑島の海岸沿いに下りてきました。
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玉石鼻の駐車場。奥に見えるのが小値賀島。
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天然記念物・玉石甌穴(たまいしおうけつ)。海岸には真っ黒な岩だらけですが、これが玄武岩です。
玉石鼻では、甌穴が見られます。岩のくぼみに石がハマり、石が水流でぐるぐる回ることで岩が削られ、穴ができたのを「甌穴」といいます。
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地元では「ポットホール」の呼び方がメジャー。看板もそうなっています。
地元の方に、旅行で来たという話をすると、皆が口を揃えて「ポットホール行った?」と聞いてくるので面白いです。
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☝これが甌穴。いまいち分からないかもしれない。
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甌穴を上からのぞき込むと、中に石が入っていることが分かる。底にある石が、荒波によってぐるぐる回り、この穴ができたのです。
石の大きさは直径約50cm、甌穴は上の方が直径約3m、底の方が直径約2m。こんなにでかい甌穴は初めて見ました。おそらく国内最大級です。
冬に北西から吹いてくる猛烈な季節風を毎年もろに受け、荒波に揉まれた結果がコレなのでしょう。
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玉石大明神として大事にされている。奥に見えるのは宇久島。真っ黒な海岸と、白い鳥居のコントラストが美しいです。
番岳園地
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続いてやって来たのは番岳。番岳から北方向を望む。納島・宇久島が見える。
小値賀島の中央部では最も標高が高い場所ですが、それでも105m。丘といった方が良いです。
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番岳から東方向を望む。左奥に野崎島、右奥に中通島が見える。
どこを見ても、この小値賀島はべたーっとしています。玄武岩の溶岩台地しかありません。
長崎鼻
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続いてやって来たのは、小値賀島の北西に突き出している長崎鼻。(厳密に言うと大長崎)手前には玄武岩がゴロゴロ。奥には斑島が見える。
ここは、かなり面白い場所です。というのも…
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玄武岩の溶岩台地の上に牛が放牧されていて、誰でも入れます。牛と直接ふれあおうと思えば、ふれあえます。ふれあうかどうかはお任せしますが。
草原には牛糞がいっぱい落ちていますので、通行の際はご注意ください。
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牛が寝そべるその向こうは大海原。この景色は凄い。柵も何もなく、牛を直接見られるのが素敵です。
赤浜海岸
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奥に見えるのは野崎島。この右下に赤浜海岸がある。
赤浜海岸には、酸化して赤くなった玄武岩が転がっています。砂浜の色が赤いのがとても面白いです。
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左が赤い玄武岩。右が普通の玄武岩。
溶岩が流れるときに酸化されたかどうかによって、色が変わる…らしいです。この海岸にも赤・黒両方の岩が転がっていますが、赤の方が多く、全体として赤い海岸になっています。
小値賀空港
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小値賀空港。2006年以降、定期便は就航していない。
何の用事もありませんが、島の南東端ということで空港に来ました。冷やかしです。
黒島園地
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黒島から野崎島方面を望む。小値賀島の南、100mも離れない距離にあるのが黒島です。言うまでもなく玄武岩の溶岩台地。
小値賀港に入港する船の軌跡が美しいです。
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黒島から小値賀島方面を見ると、小値賀島全体を見ることができます。
小値賀島の溶岩台地の形を見るには、ここが一番よいでしょう。
「牛の塔」と小値賀地峡
ところで、小値賀島は昔は2つの島に分かれていたらしいです。地形図を再掲します。
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「牛の塔」は写真を撮り忘れたので動画でご覧ください。
とにかく「牛の塔」から北に向かって、標高の低いところが続いています。もともとここには海峡があったそうです。
平安時代から鎌倉時代にかけては、現在よりも気候が温暖で、海水面が2mほど高かったと推測されています。その頃、ここは海だったのです。
鎌倉時代末期に、牛をこき使ってこの海峡が埋め立てられました。こき使われて犠牲になった牛を供養するために、牛の塔という供養碑が建てられたそうな。
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小値賀地峡(勝手に名付けた)の北端。ここから牛の塔にかけて、海抜5m未満の谷が続いている。
小値賀港
最後に、小値賀の中心街・笛吹郷をうろうろします。
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小値賀の離島ゆきの船待合所。ピンクの公衆電話がある。
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島に宅急便がやって来たのは革命的な出来事だったのでしょう。「宅急便・平成二年吉日開店」と彫られた石碑があります。なんじゃこりゃ。
しかもこの石碑、玄武岩製です。さすが玄武岩の溶岩台地の島。
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フェリー太古で、小値賀から博多へ帰ります。小値賀島は、とても小さいですが密度が高くめちゃくちゃ面白い島でした。
五島列島の中で一番楽しかったです。
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小値賀島のあちこちに建っている「牛に注意」の看板。かわいくない牛のイラストがなんともかわいい(矛盾)。
詳しくは、動画をご覧ください。映像だと、小値賀島の魅力をますますお伝えできると思います。