筑後川 河口から源流までバイクで辿る

筑後川は九州最大の川で、長さは143km流域面積は2,860㎢。どちらも九州で一番です。

今回は、この筑後川を河口から源流までバイクで辿ってみます。

筑後川の地図

幹川(本流)は流域面積が大きい方に決められており、筑後川→三隈川→大山川→杖立川→田の原川となります。幹川の源流地点はくじゅう連山の麓・平野台です。

筑後川の河口・大詫間から、田の原川の源流・平野台まで、143kmを2日間かけてバイクで遡っていきます。

河口

大詫間から眺める筑後川河口

筑後川の河口には三角州があります。三角州の北半分が福岡県の大野島南半分が佐賀県の大詫間という地名です。

ここはもともと2つの三角州で、柳河藩が北側の大野島を、佐賀藩が南側の大詫間を領有していました。ところが、筑後川が運んできた土砂が溜まり、江戸時代に1つにくっついてしまいました。

領土争いの末、1つになった三角州は柳河藩と佐賀藩で分割されることになり、それが現在の福岡・佐賀の県境にも引き継がれているのです。

筑後川河口から眺める有明海。

有明海の向こうに見えるのは、島原半島の雲仙普賢岳です。

筑後川河口とRS660

大詫間の堤防干拓を走っていると、柵が無い場所がありました。やっぱり柵がないと写真映えします。

筑後川昇開橋

ここから少しずつ上流へ向かいますが、まずは河口近くにある昇開橋へ行きます。

筑後川昇開橋。国鉄佐賀線の廃線跡です。

当時は筑後川を大型汽船が通行することがあり、それを通すために橋の一部分がつり上がる構造になっています。

橋の真ん中がつり上がる。現在では、見学用に定期的に上げ下げしているようです。

ちょうど目の前で操作してもらえました。

まだまだここは河口周辺なので、ゆったりとした流れです。

河口の有明海は、湾の形状が潮の満ち引きの周期と共振しており、干満差が最大約5mに達します。そのため、河口からかなり上流まで、海水が入り込んできます。

海水が入り込む区間を感潮区間と呼びますが、筑後川の感潮区間はなんと約24kmあります。

昇開橋の吊り上げ部分から少し佐賀県側に、県境があります。

原鶴温泉

昇開橋からさらに上流へ向かいます。

途中、筑後川の蛇行の跡が生み出した、県境だらけの道があるのですが、それは記事最後の動画でご覧ください。

筑後川源流から約55km地点にある原鶴温泉に泊まります。

原鶴温泉・ニュー筑水荘。

どこがニューやねん

というツッコミ待ちの温泉宿・筑水荘に泊まります。

ニュー筑水荘のお部屋。

畳にベッドという、お布団を敷いたり上げたりしなくて良い、斬新ながら合理的なシングルルームです。もしかしてこのスタイルが「ニュー」なのですか?

原鶴温泉街。昔は栄えていたであろう…という雰囲気が色濃く残る温泉街です。

お店がほとんどないので探し回り、焼き鳥屋の「八兵衛」というお店に入りました。

突然の筑後川花火大会(冬)

焼き鳥を食べて宿に戻っていたら、突然花火が上がりはじめてびっくりしました。数十発は上がっていたと思います。冬に粋なことをするものです。

ニュー筑水荘の温泉は非常に良かったです。プンプンかほる昭和の香りも良かったです。

個人的には、うら若きおしゃれカップル以外には断然おすすめの宿です。万人受けはしないかもしれないけど、強烈な印象には残ると思います。

水神社と山田堰

翌朝は、原鶴温泉から少し下流に戻り、山田堰を見に行きます。

堀川用水の真上に建っている水神社。筑後川の堰の正面水路の真上に建っている珍しい神社です。

鳥居に向かって川が流れてきて、画面右手の方に筑後川が流れていく構造。なかなか無い構造でしょう。

これが山田堰。

水の少ない時期は、奥の方にある2本の流路を使って水を流し、堀川用水に流す水を確保しています。

逆に増水したときは、石畳の部分に越水させて一気に水を逃がし、水門が壊れないように力を逸らすようになっています。

夜明ダム

ちょうど筑後川の真ん中辺りに位置する夜明ダムは、1954年竣工の古いダムです。

ここから、周辺が流紋岩や安山岩などの火山岩のエリアに入り、急激に地形が険しくなり始めます。

平野台高原

夜明ダムからは一気に大山川→杖立川→田の原川を遡り、筑後川の源流・平野台高原にやって来ました。

道中の様子は、やはり動画で撮っていますのでYouTubeでご覧ください。

筑後川流域には大量の「源流の碑」が存在しますが、幹川(本流)の源流の碑はこれ(平野台高原)です。

正統派の方はコレを見に来れば間違いありません。

筑後川源流の流れ。

ありがた~い正真正銘の源流の石碑から少し下へ下りていくと、高原のあちこちで沢を見ることができます。

沢が集まってきて、より大きな流れになっていく。何も無いように見える高原ですが、実は結構あちこちに小川があります。

草原の中には目立ちませんが、ここにも沢があります。

草葉の少ない冬なので、よく見える方だと思います。地形をじっくり見たい方は冬がお勧めです。

手前が平野台高原。向こうが瀬の本高原。

こちらも木が落葉している分、地形がよく見えます。ただし絵面は地味になるので、写真映えを求める方は春夏でしょうね。

黒川温泉

これまで気にもしていませんでしたが、筑後川を辿ると通りがかる羽目になる黒川温泉です。

高級な温泉宿が集まっているイメージですが、「筑後川源流の碑」の前でラッパの練習をしていたおじちゃんから、激安で入れる「地蔵湯」というお風呂があると聞き、さっそく行くことにしました。

黒川温泉・地蔵湯。年季の入った建物で、ちょっと入りづらい気もします。

しかし、200円という安さは何よりの魅力です。

高級温泉宿と泉質は大して変わらないでしょうから、恐るべきコスト・パフォーマンスを発揮します。

入口は意外にもハイテクで、料金を入れると自動ドアが開きます。ビックリします。

地元の方のお湯なので、ご迷惑にならないように。また午後7時以降は部外者は入れないようです。(2022年12月現在の情報)

びっくりしたのが、中の構造です。脱衣場が存在せず、脱いだその後ろがいきなり浴場です。

お風呂に入りながらでも荷物番ができるので安心です。万が一盗られると、全裸で追っかける羽目になりますが、そんな心配は無用なほど人がいませんでした。

手前の源泉は熱すぎて入れなかったので、奥の加水された浴槽に入りました。とにかくめちゃくちゃ良いお湯です。

見所・温泉の多さにやられた、そんな筑後川143kmの旅でした。


詳しくは動画で

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